新しい言語やフレームワークが出るたびに「○○はオワコン」「これからは新しい○○の時代」といった論争が(特に新しい物好きで上昇志向が高い)エンジニア界隈では繰り広げられています。
最近ではPythonの登場によりPHPやRubyがオワコン言語扱い。jsフレームワークでは、ReactやVue.jsの登場によりjQueryが過去の遺産扱いされている場面を度々見かけます。
しかしこれらの「いままで多くの現役エンジニアが慣れ親しんできた言語やフレームワーク」は、新しいモダン言語の登場により本当に「終わったもの」となってしまうのでしょうか?
今回はPHPの将来性について見ていきましょう。
PHPエンジニアの「平均」年収は低い
求人検索エンジン「スタンバイ」が発表した「プログラミング言語別年収ランキング2018」でPHPを探してみると……なんとランキング圏外。
ライバル言語として挙げられるPythonとRubyはしっかりランクインしていました。Pythonは汎用言語であるためPHPと比べて利用範囲が多岐に渡るため比較が難しいのですが、こちらは年収ランキング第3位を獲得しています。同じことができる他の言語と比べて年収が低いなら、PHPはさっさと卒業して、いま話題のPythonに乗り換えたほうが得だと考えてしまいますよね。
サーバーサイド言語としてのシェア率はNo.1
では実際のWebサービスは、どんな言語で作られていることが多いのでしょう。年収に比例してPythonやRuby多くて、PHPは少ないのでしょうか?
……いえいえその逆です。W3Techsの発表では、実に79%ものWebサイトがPHPで開発されているとのこと。
出典:W3Techs – World Wide Web Technology Surveys
シェア率だけを見れば、何かと話題のPythonや、よく比較対象となるRubyは全体の5%にも満たない稀な存在のようです。
世界中がPHPエンジニアを必要とする
知っての通り、Webサイトは作って終わりではありません。作ったら保守の案件が必ず発生してきます。世界の約8割のサイトがPHPであるということは、それだけの数のPHPエンジニアが保守案件で求められるということです。もし今後これら8割のWebサイトがモダン言語で作り変えられる時が来るとしても、その時にも必ずPHPの知識が必要です。
「Pythonは習得しているけどPHPなんてオワコンは学ぶ必要がないと思って…」とその時に思っても遅いのです。
既存のサービスを別の言語で作り変えるには、時間もコストもかかります。レンタルサーバーでもPythonやRubyへの対応は不十分である場合が多いため、まだまだPHPの需要がなくなることはないでしょう。
WordPressを扱うならPHPの知識が要る
最も人気のあるCMS、WordPressも基盤はPHPです。WordPressなら初心者でも簡単にWebサイトを作成できますし、Web制作会社もクライアントから費用を抑えてくれと言われた時には積極採用しているかと思います。
その手軽さからか、シェア率も上昇し続けていますね。
出典:https://w3techs.com/technologies/history_overview/content_management/all/y
とはいえ、いくら「誰でも簡単に」と言っても、カスタマイズをしたいならPHPの知識が必要になってきます。プラグインは確かに強力で優秀ですが、詰め込めば他のプラグインと競合したりサイトが重くなる原因になったりもするのです。
WordPress案件はエンジニア不在でデザイナーのみでも完結できます。しかし「ここをもっとこうしたい」というニーズに対応するにはPHPエンジニアの手が必要なこともあるのです。それが世界全体の3割のサイトに言えるということなのですね。
新規案件もWordPressで取り組むケースがまだまだ多いですし、小規模な案件でレンタルサーバーを使うのであれば、選択肢として最有力なのはPHPで動くWordPressです。WordPressのシェア率が伸び続けるのであれば、PHPは十分需要があると言えそうです。
案件数は豊富
世界中がPHPエンジニアを求めると前述しましたが、その裏付けにもなるデータがこちら。
出典:レバテックフリーランス
レバテックフリーランスでの案件数の多さでは、PHPが断トツの1位に輝きました。
年収ランキング圏外であったPHPですが、レバテックフリーランスに掲載されている案件に関して見れば、最高単価は他言語と差がないようですし、平均・最低単価も悲観するほどの差は出ていません。
どの言語を選ぼうが、稼ぐ人は稼ぐし、そうでない人は稼げない。エンジニアとしての自分がどれだけの腕を持っているかが重要である、ということでしょう。PHPフレームワークのLaravel、PythonフレームワークのDjangoの求人数も比較してみましたが、Laravelが183件に対し、Djangoはたったの35件。Djangoのほうが単価が高いとはいえ、継続して案件を獲得していきたい人には良い傾向ではありません。
Pythonは日本での歴史は浅いため、フリーランス向け案件数がさほど多くはないのかもしれませんね。
PHPはオワコンではない
PHPにも将来性や魅力はあると言える結果ではないでしょうか?
- 世界の約8割のWebサイトにPHPが使われている
- PHPで作られたサービスがモダン言語へと切り替えられていくとしても、その時にPHPの知識が必要になる
- 案件数が豊富で、仕事に困らない
こういった面があるPHPをオワコン扱いするのは、まだ早いのではないかと考えられます。
しかしPerl言語が廃れた前例を考えると、PHPもいつかそのような日が来る可能性は十分考えられます。
PHPだけで食っていく決意をするのではなく「PHPもPythonも」と他言語の習得を同時進行していく必要があることは心に留めておいて下さい。
エンジニアの道にゴールはないのです。
新技術のキャッチアップも、保有している技術のポリッシュアップも、マルチタスクでやって行きましょう!